秩父札所ラスト34番へ〜1 [秩父札所]
9月23日、いよいよ秩父札所めぐりも最後。
34番札所への日。
最後は、札立峠を越えて行かねばとこだわり、
吉田町の馬頭観音堂から歩くことにしていた。
秩父駅から馬頭観音堂まで行くバスに乗ると
おばあちゃんが「どこまで行くの？」と
話しかけてきた。
「馬頭観音堂で降りて、札所34番に行きます。」
「あら、同じだわ」
バスに乗って、畑仕事に行くと言うおばあちゃんは、
昔、山に登っていたとか、
若い頃は、父によく怒られていたとか、
とりとめないことをずーっと私に語っていた。
けっこう、早口なので、
話の全てを理解するのは、難しくて、
適当に相づちを打つ私。
馬頭観音堂の一つ前のバス停でおばあちゃんが停車ボタンを押し、
私にも降りるように言う。
どうやら、おばあちゃんの畑は、札所の途中にあり、
私と一緒に行く事におばあちゃんは決めてしまったようだ。
キツネにつままれた気分で
おばちゃんの後ろをトコトコついていく。
これは、炭焼き釜、
山のあそこに見えるのは御岳神社。
おばあちゃんは、いろいろ、教えてくれる。
「あっ! 栗だ!」と私が道路に落ちた栗を見つけると
一緒に拾ってくれた。
「これ、食べれるんだよ、アレルギーがないなら大丈夫」と
道ばたの山芋のつるから実をとって口に入れるおばあちゃん。
真似して食べてみたら、山芋の味がした。
道路から巡礼古道に入っていくと
先行くおばあちゃんが蜘蛛の巣をはらって進んでくれる。
ありがたい!
それにしても
おばあちゃんの畑は、まだ先なのかな？
バス降りてから、30分も過ぎてるのに・・・。
巡礼古道は、山道、登り道。
おばあちゃんは、スタスタ登っていく。
この最後の札所巡りで出会ったおばあちゃんは、
もしや、観音様が遣わした道先案内人かしら・・・。
それとも観音様の化身？
二股に生えたミズナラの木の所で、
「昔、ここで、野点をしたんだよ。」
野点をするには、草が生い茂っている。
昔は、ちょうど良い場所だったのだろう。
そこから、すぐに巡礼古道は道路に突き当たり、
その横がおばあちゃんの畑だった。
1時間近く歩いて着いた畑。
そこは札立峠に向かう、最後の集落。
おばあちゃんが生まれ育った所。
でも、今は秩父駅のそばに住んでいて、
畑仕事に通ってきていると言う。
「畑を見ていくかい？」と誘われ、
畑の中へ入っていくと、
おばあちゃんだけでは、手が回らないと見え、
少し、雑草とかが多く、荒れ気味になっていた。
萩が植えられ、ちょうど花の盛りだった。
以前は、庭のような綺麗な畑だったのだろう。
「去年は柚子がいっぱいなって、
取りきれずにほったらかしたら、
怒って今年は、実がならんで・・・。」
草ぼうぼうの先にある柚子の木を眺めて言う。
手をかけてやれなくて、残念そうなおばあちゃん。
お茶の木にからまるツルをたぐりながら、
「昔は、苦瓜なんて食べなかったのにね。
あっ、1つなってるから、もっていきなさい」
と私に苦瓜(ゴーヤ)をくれた。
これで、今日の夕飯は、ゴーヤチャンプルに決定だ!
それから、おばあちゃんは、実がついたお茶の枝と、
白い花の枝を折り、
「昔なら、これで宿代にしてと言ったものさ」
とよこした。
そして、畑から道路に出て、
「気を付けていきなさいよ」と見送ってくれた。
おばあちゃんは、ホントに沢山の話をしてくれた。
破風山の辺りは、石灰があり採掘されそうになり、
地元住民で反対して、
反対派のおばあちゃんは、畑に行く途中の崖から
石を落とされ脅かされたことがあったらしい。
杉の植林を通り過ぎる時には
「昔は、杉の苗がタダで、
植えると補助金も出て、
杉が育つと大金になると言われたから、
みんなが植えたけど、今となっては、
何にもならん。」
他にも
エコだのなんだの、みんな本気で自然の事を考えなければダメだとか、
この山にイノブタをわざと放して狩猟を楽しむ人がいて、困ったとか。
今まで知らなかった里山で起きている話を聞き、
驚くことばかり。
あのおばあちゃんは私に里山の現状を教えるために
観音様が遣わしたのかも知れない。
つづく
34番札所への日。
最後は、札立峠を越えて行かねばとこだわり、
吉田町の馬頭観音堂から歩くことにしていた。
秩父駅から馬頭観音堂まで行くバスに乗ると
おばあちゃんが「どこまで行くの？」と
話しかけてきた。
「馬頭観音堂で降りて、札所34番に行きます。」
「あら、同じだわ」
バスに乗って、畑仕事に行くと言うおばあちゃんは、
昔、山に登っていたとか、
若い頃は、父によく怒られていたとか、
とりとめないことをずーっと私に語っていた。
けっこう、早口なので、
話の全てを理解するのは、難しくて、
適当に相づちを打つ私。
馬頭観音堂の一つ前のバス停でおばあちゃんが停車ボタンを押し、
私にも降りるように言う。
どうやら、おばあちゃんの畑は、札所の途中にあり、
私と一緒に行く事におばあちゃんは決めてしまったようだ。
キツネにつままれた気分で
おばちゃんの後ろをトコトコついていく。
これは、炭焼き釜、
山のあそこに見えるのは御岳神社。
おばあちゃんは、いろいろ、教えてくれる。
「あっ! 栗だ!」と私が道路に落ちた栗を見つけると
一緒に拾ってくれた。
「これ、食べれるんだよ、アレルギーがないなら大丈夫」と
道ばたの山芋のつるから実をとって口に入れるおばあちゃん。
真似して食べてみたら、山芋の味がした。
道路から巡礼古道に入っていくと
先行くおばあちゃんが蜘蛛の巣をはらって進んでくれる。
ありがたい!
それにしても
おばあちゃんの畑は、まだ先なのかな？
バス降りてから、30分も過ぎてるのに・・・。
巡礼古道は、山道、登り道。
おばあちゃんは、スタスタ登っていく。
この最後の札所巡りで出会ったおばあちゃんは、
もしや、観音様が遣わした道先案内人かしら・・・。
それとも観音様の化身？
二股に生えたミズナラの木の所で、
「昔、ここで、野点をしたんだよ。」
野点をするには、草が生い茂っている。
昔は、ちょうど良い場所だったのだろう。
そこから、すぐに巡礼古道は道路に突き当たり、
その横がおばあちゃんの畑だった。
1時間近く歩いて着いた畑。
そこは札立峠に向かう、最後の集落。
おばあちゃんが生まれ育った所。
でも、今は秩父駅のそばに住んでいて、
畑仕事に通ってきていると言う。
「畑を見ていくかい？」と誘われ、
畑の中へ入っていくと、
おばあちゃんだけでは、手が回らないと見え、
少し、雑草とかが多く、荒れ気味になっていた。
萩が植えられ、ちょうど花の盛りだった。
以前は、庭のような綺麗な畑だったのだろう。
「去年は柚子がいっぱいなって、
取りきれずにほったらかしたら、
怒って今年は、実がならんで・・・。」
草ぼうぼうの先にある柚子の木を眺めて言う。
手をかけてやれなくて、残念そうなおばあちゃん。
お茶の木にからまるツルをたぐりながら、
「昔は、苦瓜なんて食べなかったのにね。
あっ、1つなってるから、もっていきなさい」
と私に苦瓜(ゴーヤ)をくれた。
これで、今日の夕飯は、ゴーヤチャンプルに決定だ!
それから、おばあちゃんは、実がついたお茶の枝と、
白い花の枝を折り、
「昔なら、これで宿代にしてと言ったものさ」
とよこした。
そして、畑から道路に出て、
「気を付けていきなさいよ」と見送ってくれた。
おばあちゃんは、ホントに沢山の話をしてくれた。
破風山の辺りは、石灰があり採掘されそうになり、
地元住民で反対して、
反対派のおばあちゃんは、畑に行く途中の崖から
石を落とされ脅かされたことがあったらしい。
杉の植林を通り過ぎる時には
「昔は、杉の苗がタダで、
植えると補助金も出て、
杉が育つと大金になると言われたから、
みんなが植えたけど、今となっては、
何にもならん。」
他にも
エコだのなんだの、みんな本気で自然の事を考えなければダメだとか、
この山にイノブタをわざと放して狩猟を楽しむ人がいて、困ったとか。
今まで知らなかった里山で起きている話を聞き、
驚くことばかり。
あのおばあちゃんは私に里山の現状を教えるために
観音様が遣わしたのかも知れない。
つづく
素敵なしめくくりになりましたね！
この出会いは観音様からの贈り物ですね、きっと。
野点した山道や、茶の木など…感動しながら拝読。
もうお茶の花、咲いているんですね。葉っぱも見事。My茶の木は…アブラムシに好かれ、葉も日焼け治らず、花芽なんてまだまだです（泣）
週末、お天気心配ですがとっても楽しみです♪
by たま茶庵 (2008-09-25 09:32)
komakoさん、こんにちは。おばあちゃんと出会い素晴らしい巡礼になりましたね。僕は最後はバスを下りて階段上がるだけ、味気ない最後の札所でした。選択したのは自分仕方ありません。この後楽しみです。
by びー (2008-09-25 15:23)
たま茶庵さん、 ホントに人との出会いは、不思議です。
秩父札所の最後に素敵な思い出ができました。
あそこで野点をするなら、小春日和がいいです。
いつか、ご案内しますね。
週末は、なんとか晴れそうですよ〜♪
by komako (2008-09-25 22:56)
びーちゃん、こんにちは。
また、いつか峠を越えて34番水潜寺へ行ってみてください。
途中でちょっとオシャレなおばあちゃんに出会うかもしれませんよ。
そしてその頃には、34番札所 水潜寺で今はできない「みずくぐり」ができるようになっているかも。
「みずくぐり」をしてこそ、
札所巡りは終わりになるのだと思います。
これができなかった事がとっても心残りです(>_<)
by komako (2008-09-25 23:33)
komakoさん、おはようございます。♪
秩父らしいなぁと感じました。
世話好きで、自分のものを見せたがります。
久しぶりに秩父の情緒を垣間見た感じです。
きっと、巡礼のご褒美に観音さまが導いてくれたものですよ～。(^^)/
続き、楽しみ～。
by クロちゃん (2008-09-26 08:10)
クロちゃん、
これぞ、秩父人情ですね。
しみじみ思います。
1人で歩いていても観音様が
一緒に歩いていると言う「同行二人」。
この日、観音様は、
おばあちゃんに姿を変えて現れたのかも・・・。
そんな気がしました。
by komako (2008-09-26 10:42)
komakoさん、こんにちは。
わたし、ほろりときましたよ、今日は。
三十四番は最後の札所だったのですね、とてもいい旅です。
おばあちゃんが、問わず語りに話す様子、ふむふむと聞き手に回りながらついて歩くkomakoさんの様子が目に浮かぶようです。
いつもは一人で歩く畑までの道に、komakoさんがつきあってくれて、おばあちゃんはとても嬉しかったと思います。
いいお話をありがとうございました。
by りこ (2008-09-27 21:24)
いや～早口のおば～ちゃんは絶対に観音様です。
願いが結ぶ３４番「結願堂」・・・komakoさんのために御姿をあらわされたに違いいりません。
秩父民話にしたいようないいお話。
いい旅・・・いい出会い・・・
秩父に住んでいるオイラまでうれしくなってしまいました。
自画自賛ですが・・・秩父って本当にいいところですね。
by keykun (2008-09-29 15:25)
コマコさん、おひさしぶりです。お元気そうで何よりです。
私はというと、スキーは先シーズンはテクニカルは不合格
でした。最高で福島のグランでコで－２点、最低で群馬の
たんばらでー１２点（！）でした。もうほとんどあきらめています。
ところでどうしても教えてほしいことがあります。昨日息子と
巻機山に登ってきました。初冠雪があり、山頂付近は雪景色
で、山頂の腰掛も雪が積もってました。紅葉は始まったばっかり
というところですが、なかなかのコントラストでした。山頂からの
山々は雲がかかっていたので、どれがどの山々だかさっぱり。。
で、よく言われている最高地点というのはどのあたりだったのか？
全く分かりませんでした。牛ヶ岳の方に５００メートル（約１０分）と
ガイドブックに書かれているのですが、実際に行ってみて（道が
狭く、しかもぐちゃぐちゃで歩きにくかったです）、その辺りがほんの
少し広くなっていて、石が積み上げられていたのですが、そこだったの
でしょうか？もうちょっと先には白い標識（たぶん分岐を示している？）
もみえたのですが、そこではないような気がしたのですが。。。
牛ヶ岳はもっとずっと先と書かれていたので行かなかったのですが、
私が思っていたところが最高地点だったのか？だいぶ気になっている
ところです。４人くらいの若いグループの方々も、ここが最高地点
じゃないの？誰か異議ある？？異議なーし！！なんて言って戻って
行ってしまいました。道も非常に歩きにくかったのでこれ以上先に
行く気にもなれなかったという事もあったのですが、もしそうでなければ
今になって少し後悔しています。その辺りの情報を教えていただければ
嬉しいです。でも再登山はしないと思いますけど。。ちなみに昨日は
苗場山と、どちらに登るか、ギリギリまで悩みました。。。
どうかよろしくおねがいします。今書かれているブログと全く関係ない
話題で申し訳ございません。
by 埼玉の山男 (2008-09-29 20:39)
りこさん、
おばあちゃんが私のような者と一緒で
嬉しかったのだとすれば、
私は尚更、出会った意味の深さにじーんときます。
こういう事って、なかなかありませんよね。
旅は、いいですね。
by komako (2008-09-30 00:02)
keykunさんが言うなら間違いなし!
札所への峠の入口まで導き、
最後の峠は自分一人で越えなさいと見送る。
他人は、力を貸すことがあっても
最後の最後、その願いを果たせるかどうかは自分次第。
「人がいいのもいい加減にしないとダメ」などの教訓や
人生にはいろいろあると語ってくれたおばあちゃん。
ホントに観音様がおばあちゃんを通じて語ってくれたのだと思います。
by komako (2008-09-30 00:12)
埼玉の山男さん、お久しぶりです。
忘れずにいてくれてありがとう。
巻機山で初雪とは、ビックリです。
昨日は、とっても寒かったですものね。
さて、巻機山の最高点ですが、覚えてません。
牛ヶ岳に向かって行くと草むらにそれらしきものが
あったような・・・。
あの稜線にいるだけで、とっても嬉しくて、
もう、最高点がどこかなんて、どうでもよくなっていました。
あんなのっぺりした所なんですもの
どこだっていいじゃんって気持ちでした。
お役に立てなくてすみません。
by komako (2008-09-30 00:13)
季節によってやはり山の印象は違いますね。
雪が降った後だったので、ぐちゃぐちゃで稜線は歩きにくかった。。。
早く山頂に戻りたかったので。。。でもちょっと早い紅葉と
雪のコントラストはなかなかよかったです。思っていたよりは
上りやすい山でした。岩場、ロープ、階段、鎖場がなかったから
かな？スキーはどうですか？指導員とかテクとか、目指されて
いるのですか？もうそろそろですね！レスありがとうございました。
by 埼玉の山男 (2008-09-30 20:24)
埼玉の山男さん、
この時期に巻機山で雪、紅葉を見られるなんて、
ラッキーだったのかもしれませんよ。
それにしてもあのロングコースを
あっさりと歩かれたようですね。
素晴らしい、健脚ぶり!
さすがでござる!
雪を見ちゃったから、スキーがしたくてウズウズしているようですね。
私は、もう人からジャッジされるスキーをしたくありません。
だからって、向上心をなくしたワケではありません。
そろそろ、シュミレーション的トレーニングをする頃ですね。
テク目指して、頑張ってください!
by komako (2008-09-30 21:04)